トウ ヒデヒロ
  藤 英博
   所属   新潟薬科大学  応用生命科学部 学部付
   職種   教授
研究期間 2008~2010
研究課題 グリセロールに対するL. reuteriの遺伝子発現様式のin vivo解析
実施形態 科学研究費補助金
研究委託元等の名称 日本学術振興会
研究種目名 基盤研究(C)
研究機関 麻布大学
課題番号 20580298
代表分担区分 研究分担者
研究者・共同研究者 森田 英利,桑原 知巳,藤 英博
概要 Lb.reuteriは、グリセロールを基質として3-ヒドロキシプロピオンアルデヒド(3-HPA)を生成する。菌体外に放出された脱水型の3-HPAは、液体培地中では可逆性のある3-HPA水和型や二量体などの形態をとり(HPAシステム)、それら3-HPAはロイテリンと総称されている。ロイテリンは、グラム陽性菌、グラム陰性菌、酵母、カビ、原生動物、ウイルスに至るまで非常に広い抗菌スペクトルを示し、その生育を抑制する。それら微生物への抗菌機序は、その広い抗菌スペクトルから、微生物のリボヌクレオチド還元酵素活性の抑制によるものと推察され、酵素結合部位へのリボヌクレオチドとの競合やリボヌクレオチド還元酵素のスルフヒドリル基への作用などが考察されている。 3-HPAは反応性に富んだ物質であるため、消化管内でLb.reuteriがロイテリンを産生している報告はなかった。そこで、無菌マウスにLb.reuteri JCM 1112の1菌株を定着させ、^<13>C_3-グリセロールを用いた二次元核磁気共鳴法によりマウス盲腸内で3-HPAをin vivo検出した。さらに、^<13>C_3-グリセロールを自由摂取させたマウス消化管から回収したLb.reuteriでは、グリセロールからの3-HPA産生に関与する遺伝子が、グリセロール無摂取群と比較して有意に発現していた。特に、グリセロールトランスポーター遺伝子であるpduFの発現量は、グリセロールを摂取していない群との有意差を認めた。腸内フローラ構成細菌に対し、消化管内で産生される抗菌物質の作用がプロバイオティクスの整腸効果として示唆されているが、in vivoでそのような抗菌物質を検出した報告はなかった。Lb.reuteriの産生した3-HPAのin vivo検出により、プロバイオティクスが哺乳動物の消化管内で抗菌物質を産生していることが初めて証明された。
PermalinkURL https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-20580298/20580298seika.pdf